1月4日。 人類が最も体重計を恐れる日。
おせち、雑煮、寿司、焼肉、蟹、そして締めのアイスクリーム。 「正月だから」という、法律よりも強力な「魔法の免罪符(フリーパス)」を使い、欲望のままに糖質と脂質を摂取し続けた連休最終日。
そのツケは、必ず払わされる時が来ます。
脱衣所から、妻の悲鳴にも似た、この世の終わりかのような叫び声が聞こえてきました。
「うわっ……嘘でしょ……!? 壊れてるんじゃないこれ!? 電池切れだよね絶対!?」
ガタガタガタッ!と体重計を揺らす音。 何度乗っても数値が変わらないことを確認した妻が、ドスドスとリビングに戻ってきます。 その足取りは、これからリングに上がるプロレスラーのように重く、そして殺気立っています。
コタツで平和にミカンを食べていた私に向かって、妻は仁王立ちになり、あの「全既婚男性が震え上がる死の質問」を投げかけました。
「ねえ……私、太った?」
出ました。 正解のない無理ゲー。「死のクイズ」の開幕です。
ここで「うん、ちょっと丸くなったね」と正直に言えば、「デリカシーがない!」とブチ切れられます。 逆に「いや、全然変わってないよ」とお世辞を言えば、「嘘つき! 私のこと見てない証拠だわ! この腹肉が見えないの!?」と詰められます。
進むも地獄、戻るも地獄。 答え方を一つ間違えれば、今夜の夕飯が「もやし炒め(肉なし)」になるどころか、向こう3ヶ月間の家庭内カースト最下層が決定する緊急事態です。
この記事では、3児の父であり、かつてこの質問に正直に答えてリビングから追放された経験を持つ筆者が、正月太りを気にする妻への「絶対に言ってはいけないNGワード」と、危機をチャンスに変える「神返し方」を徹底解説します。
【この記事の結論:お肉は「平和の象徴」である】
この質問は「事実確認」ではなく、「変わらぬ愛の確認」である。
「痩せた?」という明らかな嘘は、妻の不安を煽るだけなのでNG。
正解は、体型を否定せず「質感(もちもち)」をポジティブに褒めること。
なぜ妻は、答えを知っているのに「太った?」と聞くのか?
この理不尽なゲームを攻略するには、まず敵(妻の深層心理)を完全解析する必要があります。
妻は、自分が太ったことくらい痛いほど自覚しています。 今朝履こうとしたデニムのボタンが弾け飛んだ時点で、真実は確定しているのです。
それでもあえて、リスクを冒して夫に聞いてくる理由は、主に以下の2つです。
1. 「太っても愛してくれるか」の確認作業(承認欲求)
女性にとって体重増加は、アイデンティティの危機です。 「太った私なんて魅力的じゃない」「おばさんになったと思われたくない」「夫に幻滅されたくない」という強烈な自己嫌悪に陥っています。
だからこそ、一番身近な夫に否定してもらうことで、「まだ女として大丈夫だ」「この人は見た目だけで私を選んでない」という安心感を得たいのです。 (非常に面倒くさいですが、裏を返せば「あなたに愛されたい」という可愛い心理でもあります)
2. 「正月太り」への共犯者探し(連帯責任)
「私だけ太った」という事実は孤独であり、屈辱です。 自分だけが自制心のない食いしん坊だなんて認めたくありません。
夫に「俺も太ったよ、ベルトきついよ」と言ってもらい、「だよねー! 美味しいもの食べたもんね! 仕方ないよね! 日本の正月が悪いよね!」と傷を舐め合いたいのです。 ここで夫だけが涼しい顔をしてシュッとしていると、妻のイライラは倍増し、理不尽な攻撃対象にされます。
これで即死!絶対に言ってはいけないNGワード
戦場において、地雷を踏むのは一瞬です。 焦った夫が口にしがちな、離婚届の検索履歴に残るレベルのNG回答を紹介します。
NG1:「うん、ちょっと顔丸くなった?(正直者)」
正直者は馬鹿を見ます。いや、死を見ます。 事実だとしても、絶対に口にしてはいけません。妻はあなたの「コメンテーターとしての客観的な意見」など求めていません。
夫:「(まじまじと見て)……うん、ちょっと顔が丸くなったかもね。顎のあたりとか」 妻:「は? ……ひどい。信じられない。あんたも頭薄くなってるくせに何様? 鏡見てから言いなよ」
これを言った瞬間、過去の身体的特徴まで遡って報復攻撃を受け、リビングは焦土と化します。 「太った?」への回答で「YES」は、核発射ボタンと同じです。押してはいけません。
NG2:「いや、全然痩せてるよ(無関心)」
明らかに太ったのに、スマホゲームをしながら適当に「痩せてるよ、大丈夫大丈夫」と言うのは、「お前の体型に興味がない」と言っているのと同じです。
妻:「嘘つき。このお腹が見えないの? 見てないんでしょ! 私に関心ないのね!」 夫:「(見たら見たで怒るくせに…理不尽だ…)」
嘘をつくなら、命がけでバレない嘘をつく必要があります。中途半端なお世辞は、火にガソリンを注ぐ行為です。
NG3:「じゃあ明日から一緒に走る?(意識高い系)」
論理的思考の夫がやりがちな、解決策(ソリューション)の提示です。 妻はライザップのトレーナーを求めているのではありません。
夫:「じゃあ、明日からジム行く? 食事も鳥のササミにする?」 妻:「……なんで上から目線なの? 私がデブだって言いたいの? 今の私がダメってこと?」
アドバイスのつもりが宣戦布告とみなされます。 正論は時に、ナイフより鋭く妻を傷つけます。妻が欲しいのは「筋肉」ではなく「共感」です。
危機をチャンスに変える「神返し方」3選
では、どう答えればいいのか。 ポイントは、「太った事実」をあやふやにしつつ、「今の君が好きだ」という質感(タッチ)や幸福論の話にすり替えることです。
パターンA:【触感】「モチモチしてて、俺はこっちのが好き」
「太った」というネガティブワードを、「モチモチ」「柔らかい」「女性らしい」というポジティブワードに変換します。 そして、二の腕やほっぺたを軽く触りながら言います(ここ重要)。
夫のセリフ例: 「ん? そうかな? わかんないけど…… (二の腕をプニプニして) でも俺、今の〇〇のモチモチした感じ、抱き心地よくてすげー好きだけどな。 冬はこれくらいの方が健康的で可愛いよ。俺は好き。」
【解説】 最強です。「太った事実」を否定せず、しかし「評価」をプラスにします。 妻も「えー、もうバカにしてるでしょー(笑)」と言いつつ、まんざらでもない顔をします。 「俺は好き」というキラーワードは、すべての議論を強制終了させる威力があります。
パターンB:【共感】「それは脂肪じゃない、幸せの貯蓄だ」
太ったことを「楽しかったお正月の結果」として正当化してしまいます。 罪悪感を消し去る高等テクニックです。
夫のセリフ例: 「いや、実は俺もベルトきついんだわ……昨日から息止めて履いてる(笑)。 でもさ、あれだけ実家で美味いもん食って、みんなで笑って過ごしたんだもん。 このお肉は『幸せの貯蓄』だよ。 楽しかった証拠を体に溜め込んだだけ。明日からまた夫婦で少しずつ消費していけばいいさ!」
【解説】 「太った」=「自己管理不足の悪」という概念を覆します。 「私だけじゃない」「これは幸せの結果なんだ」と思わせることで、妻のイライラを鎮火させます。 共に太ったことをアピールすることで、固い共犯関係(同志)を結びます。
パターンC:【回避】「えっ、服のせいじゃない? 顔色は最高だよ」
物理的なごまかしテクニックです。 体型ではなく、ファッションや肌ツヤのせいにします。
夫のセリフ例: 「そう? この部屋着、ふわっとしてる素材だからそう見えるだけじゃない? (じっと顔を見て) ……それよりさ、顔色はすごくいいし、肌ツヤ良くなってない? 正月ゆっくり休めた証拠だね、よかった。ママが元気なのが一番だよ。」
【解説】 視点を「体型(ネガティブ)」から「肌の調子(ポジティブ)」に強制的にずらします。 女性は「肌が綺麗」と言われると、体重の悩みがいったん吹き飛ぶ傾向があります。 「ゆっくり休めてよかった」と労うことで、良き夫ポイントも大量獲得できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 妻が「明日からダイエットするからお菓子禁止!」と宣言しました。
A. 全力で協力するフリをしてください。
ここで「えー、俺は食べたいのに」と言うと殺されます。 「よし、俺も付き合う! 家のお菓子は全部捨てよう(または隠そう)!」と言って、会社でこっそりお菓子を食べてください。
どうせその宣言は3日(早ければ今夜)で終わります。 妻が「……チョコ食べたいな……」とボソッと言い出すまで、じっと待つのが正解です。 間違っても「ダイエット中だろ?」と止めてはいけません。「一口だけなら大丈夫だよ、脳の栄養だよ」と悪魔の囁きをするのが、夫婦円満の秘訣です。
Q. テレビを見ていて「この芸能人太ったね」と言ってしまいました。
A. 直ちに撤回し、自分を落としてください。
妻の前での他人の体型批判は、ブーメランとして返ってきます。 あなたが「〇〇ちゃんも太ったなー」と言った瞬間、妻の脳内では「じゃあ私はどうなのよ? 心の中でデブだと思ってるんでしょ?」と変換されています。
気づいたら即座に、「いや、人のこと言えないわ俺も……最近腹が出てきて……マジでやばい。俺もオッサン化したなぁ」と、ターゲットを自分に向け変えてください。
まとめ:妻の脂肪は「幸せ」と呼ぼう
「私、太った?」 この質問は、体重の増減を確認する事務的な質問ではありません。 「どんな姿になっても、私を大切にしてくれますか?」という、愛の確認作業です。
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「太った」と認めない(事実より感情)。
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「モチモチで可愛い」と質感を褒める。
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「幸せの証(あかし)」としてポジティブに捉える。
この3ステップで、正月太りの危機は回避できます。 奥さんが少しふっくらしたのは、それだけお正月が平和で、ご飯が美味しかった証拠です。
「美味しいね」と言って一緒に大福を食べる。 そんな平和な日常こそが、我々夫が守るべき「幸せ」なのです。 さあ、奥さんが「ダイエットは明日から」と言い出す準備をしてあげましょう。
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